このページにコメントを付ける

パウダーフュージング技法について

カテゴリー: 
パウダーフュージング技法  2015/10/15 (木) 10:44 水吉郁子
パウダーフュージング技法の特徴をまとめてみました。

パウダーフュージング技法の始まり

1986年頃、フュージング技法を紹介した本に出会い、
フュージング技法で作品を創り始めました。
でも、なかなか思い通りには行きませんでした。
本で紹介されていた方法は、
市販のガラス板を電気炉で加熱して、
溶着させたり、成型するというものでしたが、
当時市販されていたガラス板は、
厚さが1種類だけで、色数も少なく、
それで作れる作品には限界があったからです。

そこで、自分でガラス板を作れないものかと、
吹きガラスを勉強してガラス板を作ってみたり、
バーナーワークやパートドヴェールを試してみたり、
いろいろと模索しました。

1993年頃、ふとしたきっかけから、
ガラスの粉から板を手軽に作る方法を思い付き、
自分でガラス板を作れるようになりました。
そこがパウダーフュージング技法の始まりでした。

その後、ガラスの粉を使って絵を描く方法を考えたり、
ガラス板を何枚も重ねて焼くコツを覚えたりして、
少しずつですが、思い通りに作品を創れるようになりました。
そして、ガラスの粉で板を作り、ガラス粉で絵を描くところから、
自分の技法にパウダーフュージングという名前を勝手につけて
創作活動を行うようになりました。

ガラスの粉から作った作品の特徴

IMG_5750_s.JPG ガラス粉を電気炉で焼成してガラス板を作るとき、
粉のツブツブの間にある小さな隙間の空気が閉じ込められて、
ガラス板の中に小さな気泡がたくさん入ります。
そして、その気泡が光を乱反射させ、ガラスが半透明になり、
透明なガラスとは違う、和紙のようなやさしい風合いになります。
ガラス粉の粒子の大きさを調節することで、
透明度や風合いをコントロールすることもできます。

このガラス自体の風合いがパウダーフュージング技法の特徴です。

ガラスの粉は160色以上あります。
その粉を混ぜれば、色も混じりますから、色数は無限大です。
そして、色数無限大の粉から創った作品はとてもカラフルです。
しかも、その色にはガラス特有の透明感があって、
光が当たると発色しているようにも見えます。
窓辺の明るいところに作品を飾ったり、
電球やロウソクで照らすと、とても綺麗!

粉からガラス板を作るとき、
砂絵を描くように粉を配置すれば、好きな模様のガラス板を作れます。
そして、そのガラス板の上に粉で絵を描くこともできます。
細かな粉が材料ですから、細い線でも太い線でも自由自在ですし、
型紙の上に粉を振って図案のような模様を付けることもできますし、
筆などを使って油絵のようなテクスチャを表現することもできます。
ガラスでこんなに自由に絵や模様を描ける技法はありませんでした。
これもパウダーフュージング技法の特徴です。

使って楽しむ

ガラスの作品は壊れそうで使うのが怖い、
という声を聞くことがありますが、
パウダーフュージング技法で作った作品は案外丈夫です。

もちろんガラスですから、落としたり、ぶつければ割れますし、
熱いお湯を入れれば割れることもありますが、
汁気の少ない炒め物を盛る程度なら、熱いものでも大丈夫です。
ガラス板の元になるガラスの粉と、絵を描くガラスの粉は全く同じ材料で、
それが電気炉の熱で溶けて一体になりますから、
色が剥げたり落ちるようなこともありません。
ガラスのコップとかと同じような感覚で、普段使いできます。

飾って眺めて楽しむだけでなく、
使って楽しむという、工芸本来の楽しみ方ができることも、
パウダーフュージング技法の特徴です。

Plain text

  • HTMLのタグは使えません.
  • 改行と段落付けは自動的に行われます.
画像認証
機械的な書込みを防止するために画像認証を設けています。ご協力ください。
Image CAPTCHA
Enter the characters shown in the image.