浮き上がるリングの中皿(ガラス教室のU.A.さんの作品)

盛り塗り技法を使うと
ガラス粉で作ったペーストで絵を描くようにして
複雑な形のガラスパーツを作ることができます。
絵を描いた後、電気炉で焼成するのですが、
パーツの厚さが薄いと折れたり割れたりするので、
普通、ある程度の厚みを持たせます。
しかし、厚くすると焼成温度を高くする必要があり、
そうするとガラスが若干収縮して少し変形してしまいます。
変形しても、焼成後に削って形を整えればよいので、
大きな問題にならないのですが、
今回紹介するU.A.さんの作品の場合、
削って形を整えるのが難しい面があります。
円をたくさん並べるデザインなので
同じ大きさの歪みのない円のパーツを
たくさん作らないといけません。
削って形を整える方法だと、これが案外難しいのです。
そこで、U.A.さんは変形しないように
焼成工程を工夫しました。
焼成温度を低くして、焼成時間を短くすれば
ガラスの収縮が少なくなり、変形は少なくなるので、
変形しないような温度と時間を探したのです。
しかし、温度と時間が足りないと
ガラス粉が完全に溶けないので、
粉が板になるギリギリの温度と時間を探すのは大変です。
U.A.さんの自宅の電気炉で焼成作業したので、
私は詳しいことは分からないのですが、
何回も試行錯誤したのだと思います。
結果、変形のない正確な円のパーツを作ることができました。
焼成工程まで考えられるようになると
ガラスの面白さが
ますます広がっていくのだと思います。
テーブルに映ったパーツの影によって
器の形に合わせて丸い輪が浮かび上がって見えます♪
淡く優しい色合いなのにしっかりとした
存在感を感じる作品になりました。