柔らかな幾何模様の四角皿(T.M.さんの作品)
教室の隅に、
作品を作るときに出た切れ端とか、
失敗して割れたガラス板とかを入れておく
通称「カケラ箱」があります。
棄てるのはもったいないので、
誰かに再利用してもらおうという趣旨ですから、
普段は、カケラしか入っていないのですが、
たまに、ちゃんとしたガラス板が入っていることがあります。
制作途中で行き詰って諦めたものとかを誰かが入れる訳です。
すると、見つけた人は
ちゃんとしたガラス板が手に入る少ないチャンスですから、
それを使ってどうやって作品を作るか、
なんて考えず、何かに使えるだろうと思って、
とりあえず拾います。
そして、労せずして手に入れたガラス板ですから、
深く考えることもせずに、
ちゃちゃっとお皿を作ったりします。
でも、T.M.さんは、そういうときでも
じっくり考えて作品作りを進めます。
T.M.さんを見ていると、
そういう考える時間を楽しんでいるようにも見えます。
拾った後、1年以上も温めた後、
カケラの周囲に透明な部分を継ぎ足すように
ガラス粉を置いて焼成して、ガラス板を少し大きくしました。
そして、また、じっくり考えます。
しばらくして、緑のガラス粉を筆で四角く塗りました。
色の表情をつけるために、
あえてムラにして筆跡を残したそうです。
そして再度焼き、そして、また、じっくり考えます。
優しい色合いを保ちたいので、
これ以上色数を増やしたくありません。
でも、このままではちょっと物足りなさがあります。
そこで、炭酸カルシウムを使って
縦横のレリーフ模様をつけてみました。
これで磨り硝子のような風合いになり
影がハッキリと映ります。
柔らかい色合いは生かしたまま、
磨り硝子のような縦線と横線の影が効果的な作品になりました。
手を動かせば、モノは出来上がっていきます。
この、自分の手で何かが出来上がっていくというところが
モノ作りの楽しさの原点だと思いますが、
それだけでなく、どういう風にしようかと
考えることも楽しいことです。
そういう時間を楽んでいる作者が素敵ですね♪
小皿も作ってみました。