月と惑星の大皿(T.M.さんの作品)

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ガラス教室の作品紹介  2017/09/30 (土) 09:48 水吉郁子
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吹きガラスとパウダーフュージングでガラス制作を楽しむT.M.さん。
これまで、吹きガラス製のパーツを使った作品をいろいろ作ってきました。

今回は吹きガラスの技法の一つ、
レースグラスを作る過程で切り落として捨てる部分を使って
作品を作ることにしました。

検索サイトで「レースグラス」という言葉を検索すれば、
沢山写真が出てきます
し、
その写真を見てもらえば、どのようなものか分かると思うので、
レースグラスの説明は省きますけど、
その作品を作る過程で下の写真のような切れ端が出てしまいます。
レースグラスの制作では、この切れ端を捨ててしまうのですが、
捨てるには惜しい魅力的なパーツなので、
これを使ってみたわけです。

まず、この切れ端をいくつか集めて棚の上に並べ
加熱溶着させて丸いガラス板にします。
上の写真の中央に
花のようなレースグラスの切れ端がいくつか集まっている
丸い部分がありますが、そこのことです。

この小さくて丸いガラス板の回りに透明のガラス粉を置いて、
丸いガラス板の周囲に透明な部分を作り足し、
左側の逆三日月形の部分に白いガラス粉を置き、
スクラッチ法で線を描き加え、
最後、スランピング技法で成型してお皿の完成です。

今回のレースグラスの切れ端に限らず、
吹きガラスで作ったものは、それ自体が綺麗です。
なので、それを使うときは、
素材の良さを活かして作品を作ることが多くなります。
素材の良さを活かすことは大切なことなので、
これは良いことなのですが、
結果的に、シンプルな作り方になってしまい、
作り手の個性や意図の表現という面から見たときに、
物足りなさを感じることもあります。

その点で、この作品には作り手の意図が感じられ、
見応えのある作品に仕上がっています。
たとえば、左側の逆三日月の部分に白いガラス粉を置くとき、
透けて見えるように、ガラス粉を少な目にしています。
そうすることで、布地のシフォン生地のような
霞んだ感じを表現しています。
それが中央部分のレースグラスと良い具合に調和しています。

この繊細で、はかなさを感じさせる雰囲気が良いですね。
私は、音のない宇宙に浮かぶ月と惑星をイメージしました。
長年、二つの技法で制作をしてきた
T.M.さん独特の感覚が形になった作品だと思います。
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このレースグラスのパーツで小皿も作りました。
こちらもレースグラスとパウダーフュージングが上手く調和してます。
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