怪しい夜のハロウィン皿(S.R.さんの作品)

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ガラス教室の作品紹介  2017/10/26 (木) 07:04 水吉郁子
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「銀箔とオレンジ色を使って
 ハロウィンの皿を作ってみたいです」
というS.R.さん、ハロウィンのお皿を作ることにしました。

まず、銀箔を挟んだガラス板を作ります。
銀箔を入れて焼成すると銀箔に亀裂が入るので
その亀裂を取り入れて月の形にカットしました。
亀裂の入ったところが怪しげで
ハロウィンぽいですね~♪

次に、オレンジ色のガラス板を作り、それを丸くカットして
上に銀箔のガラス板を重ねます。
そして、オレンジの部分にザラメ状のガラス粉を置いて
低温で焼き付けます。
低温で焼いたので粒の形が残り、
表面が凸凹しています。

そのまま、家やコウモリを描いて仕上げても良かったのですが、
オレンジの表情にもう少し手を加えてみたくなりました。
そこで、低温で焼いたザラメの凸凹の溝を埋めるように
同色のオレンジのガラス粉を刷り込むように置いて再度焼きました。
そうすると、オレンジのガラス板の上に
網目状の同じ色が被さって二重になり、
色合いが深く、怪しく見えてきました♪
写真だと、網目が見えづらいかもしれませんが、
なんだか怪しげな深いオレンジ色に見えるのはその工夫の成果です。

そして、型紙を使って黒いガラス粉で家やコウモリを焼き付けて
最後、スランピング技法で成型してお皿の完成です。
ハロウィンの怪しげな世界を感じる作品になりました。

作品を作るとき、
最初、作品のイメージを紙に描いてみて、
色や形を決めてから制作作業に入ります。
でも、最初のイメージはあくまでもイメージに過ぎません。
何回も同じような作品を作る場合は、
制作工程の隅々まで把握できますが、
普通、作る前から制作工程を全部見通すことはできないので、
どこかで、想像とは違うことが起こります。
失敗するとか、悪いことだけではなく、
想像したより良い方向に進むこともありますし、
作業が進むに従って、
新たなイメージが湧いてくることもあります。
これは物作りではよくあることで、
制作工程の都度、出来具合をよく見ながら調整することで、
作品は、より良くなっていきます。

この作品の場合、粒の形が残って凸凹になった表面を見て、
そこに同じ色の粉を刷り込んだことで、
怪しげな雰囲気の深い色合いを表現できました。
そういう細かな工夫の積み重ねによって
生き生きとした作品ができるのだと思います。

なお、この作品は第4回パウダーフュージング教室展に出展します。
是非、怪しいオレンジ色を見に来てください!(笑)
詳しくはこちらの案内をご覧ください。


小皿も作ってみました。
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