空気に溶け込むぐい飲み(Y.R.さんの作品)
パウダーフュージング技法は、ガラスの粉で板を作り、絵を描きますが、
粉は一種類ではありません。
小麦粉のように細かいガラス粉、
塩のツブくらいの大きさの粉、
少し大きめのザラメくらいの粉、
直径5ミリくらいのツブ、
10ミリくらいのツブ、
というように、粒子の大きさが何種類かあります。
そして、粒子の大きさによって、できるガラス板の風合いが変わります。
粒子が小さいと、ツブの間に小さな空間が沢山できるので、
電気炉で焼成したときに、ガラスの中に細かい気泡が沢山残ります。
気泡は小さく、パッと見た感じでは目立たないので、
白っぽい和紙のような感じになります。
逆に、粒子が大きいと気泡の数が減り、気泡の大きさが大きくなります。
そして、ガラスの中に丸い気泡が見え、ガラスの透明度が上がります。
ガラス粉からガラス板を作るときは、こういった仕上がりを予想して、
粉の大きさや色を選びます。
その際、色を使い分けて模様を描くことはあっても、
粒子の大きさの違いからくるガラスの風合いの違いを前面に出し、
それで何か表現するような例は今までありませんでした。
それをやったところがこの作品の特徴です。
写真では分かりにくいのですが、
白っぽく雲のように見えるところは細かいガラスの粉、
透明のところはザラメ状のガラスの粉、という具合に使い分けています。
また、透明な緑色は塊のガラスを自分で大きめに砕いて使っています。
粒子の違いによる仕上がりの違いを最初に頭の中でイメージできないと、
こういう作品は作れません。
ガラスの風合いを生かした、空気に溶け込むような作品になりましたね。
Y.R.さんに使っているところの写真を送ってもらいました。(下の写真)。
おいしそうなシャコに日本酒、いいですねー。
日本酒を満たすと揺れて浮遊感が増すような気がします。