キラキラが魅力のランプ(I.Y.さんの作品)

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ガラス教室の作品紹介, パウダーフュージング技法  2016/10/28 (金) 17:07 水吉郁子
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ザラメ状の少し大きなガラスの粒を低めの温度で焼くと、
粒々の形が残ったキラキラのガラス板ができます。
この表面がキラキラしたガラス板は
吹きガラスなどの技法では作ることができない、
独特のものです。
「このキラキラをそのままに、ランプが作りたい!」
ということで、ランプを作ることにしました。

その作り方ですが、 キラキラのガラス板を作る工程はさほど難しくありません。
棚板に大きめのガラスの粒を置いて、電気炉で加熱するとき、
温度に注意するだけです。
温度を上げすぎると粒が完全に溶けて液状になってしまい、
ガラス板の表面が平らになってしまいますから、
そうならないように、低めの温度で焼成します。
すると、粒が少し溶け、まだ形が残ったままの状態で粒同士がくっついて、
キラキラなガラス板になります。

問題なのは、ランプのように深さのある形に成形するところ。
そこで使うサギングという技法です。
この方法、ドーナツのように穴を空けた型にガラス板を乗せ、
加熱して柔らかくなったガラスが穴から下に落ちるのをコントロールして形を作るのですが、
その温度調節が微妙です。
温度が低いとガラスが柔らかくならず、ガラス板が下に落ちませんし、
温度を上げすぎると、ガラスが柔らかくなりすぎて、下に落ち過ぎてしまいます。
また、ガラスが下に落ちるときに伸びて薄くなりますから、
それを見越して、ガラス板を厚めに作っておかないといけません。

サギング技法は普通のガラス板の場合でもこのような難しさがあり、
さらに、今回のキラキラな板ではもう一つ難しさが加わります。
キラキラな板はガラスの粒が少し溶けてくっついているだけなので、
下に落ちてガラス板が伸びて薄くなったときに、
くっついていたのが離れて穴が空いてしまうんです。
この作品を作る時も穴が空きました。
でも、何回も、失敗しながら繰り返したら、
やり方が分かってきました。
そして、やっと形になったのがこの作品です!
パチパチパチ!!

初めてのこと、誰もやったことがないことは、
思いもかけない失敗がありますが、
成功したときには達成感があります。
モノ創りの醍醐味ですねぇ♪

この作品、電気を点けても点けなくてもキラキラが綺麗です!
サギングで自然に伸びたガラスの稜線も美しい!
なんの模様もありませんが、ガラスの質感そのものが美しく、
ずっと眺めていたくなります。
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