金魚が揺らぐそうめんの大鉢
今年の夏が始まる頃、
S.Y.さんが
暑い夏を楽しむそうめんの鉢が欲しい、ということで
作り始めました。
まず、金魚のパーツ作りです。
盛り塗り技法で、
シートに金魚の絵を描き、
焼きます。
盛り塗り技法は
水彩画を描くように数色を重ねて描くと
写実的な表現もできます。
リアルな金魚のパーツができました。
次は、水をイメージしたベース板です。
透明のガラスにシアンブルーを少し入れて焼きました。
できたベース板の上に金魚のパーツを置いて、
全体のバランスを見ます。
全体のバランスが決まったら
ガラス粉をかぶせて焼く工程に入りますが、
そこで、ひと工夫します。
水槽の底にいる金魚と水面近くの金魚の
奥行き感を表現したかったので
水面近くにいる金魚を一旦外して
下の方にいる金魚だけベース板の上に残し、
上から透明のガラス粉をかぶせて焼きます。
そして、焼き上がったベース板の上に
水面近くの金魚を乗せて、
今度は低温で焼き付けます。
これで、ガラスの中に焼き込んだ金魚と
アップリケのように表面に焼き付けた金魚に
奥行き感が出ました。
最後、裏側に水の波紋の凸凹をつけて
スランピング技法で成型して完成です。
優雅に泳ぐ金魚が揺らいで見える風景が
そのまま器になりました。
美しい~!
いろいろな要素を入れて、
何度も繰り返し焼いてできた大作です。
焼く回数か多かったことで
思ったよりも時間がかかり
9月にやっと出来上がりました。
「夏の間にこれでそうめんが食べたい!」と
言いながらの制作作業でした。
その思いが通じたのか、
今年の夏は長かったなぁ~。
小さめのボウルも作りました。