瞑想する乙女の長皿(S.M.さんの作品)
教室では、各自に個人ボックスを用意しています。
教室のとき、道具、材料、ガラスのカケラなどを
毎回持参するのは大変なので、
一時的に保管できる場所を用意するのが趣旨です。
教室に長く通うと、作品数が増え、
使い残したガラス粉やカケラが増えていきますから、
ボックスの中身は段々増えていきます。
今では、そのボックスの数が60以上もあって、
全体の重さは相当なものです。
工房は古い木造建築で、
その重さに耐えられるか、少し心配なので、
「個人ボックスの荷物は減らしてね~!」とか
「使わないカケラは断捨離しましょう!」とか
いつも、皆にお願いしています。(苦笑)
そのお願いに応えて、
S.M.さんはボックスを整理するために、
使い残したガラス粉を全部棚板に出して、
指で混ぜたり、平らにならしたりして
ガラス板を作りました。
すると、暖色系の不思議な色のガラス板ができました。
指でくるくる混ぜたところが渦になり、
これまた不思議な模様になってます。
S.M.さんは、その板をじっと見てイメージを広げ、
目を閉じた乙女を描きました。
それだけだと華やかさがないので、
縁周りに金色のガラスを置いてみました。
そして、上から透明のガラス粉をかけて焼き
スランピング技法で縁を上げて長皿に仕上げました。
不思議な色のベース板と
そこに描いた絵柄を合わせて見ると、
ただ眼を閉じているだけでなく、
瞑想しているような雰囲気を感じる
ストーリーのある作品になりました
普通、作品を作るときは、
色や形のイメージを練り上げて
計画的に制作するのですが、
それだと、好きな色、使いやすい色、使い慣れた色に
偏ってしまいます。
それが作家の個性であり、悪いことではありませんが、
たまには、こんな作り方もアリかもしれません。
いつもと違う視点で作ると
新たな発見があったりして、
それが作品の幅を広げてくれることもあります。