カケラの形を活かした楕円の小皿(I.M.さんの作品)

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ガラス教室の作品紹介  2015/02/22 (日) 11:50 水吉郁子
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この作品は私の失敗作をI.M.さんが再生してくれたものなので、
その失敗の話から。

板ガラスからお皿の形を作る方法は二つあります。
一つは、お皿の形に作った型の上に平らなガラス板を置いて、
電気炉で加熱してガラス板を成形する方法です。
これはスランピングといって、比較的浅いお皿を作るときに使う技法です。

もう一つは、サギングという、
ボウルやぐい呑みのように深い形を作るときに使う技法です。
こちらは、ドーナツ状に穴を空けた型の上に板ガラスを置いて焼き、
穴の部分のガラスが熱で溶け、伸びて落ちるのを利用して形を作る方法です。

スランピングは型が浅く、熱で溶けたガラスを型が下から支えてくれますから、
加熱する温度が多少上下しても形が崩れる恐れは少ないのですが、
サギングの方は下から支えてくれるものがないので、
丁度良い形を作るには、
丁度良い温度とタイミングによってガラスの溶け具合をコントロールするしかありません。
なので、高度な技が必要な技法と言えます。

私もサギングで納得できる作品が作れるようになるのに10数年かかりました。
それでも、たまには下の写真のように失敗することがあります。(泣)
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こんな風に失敗した作品は教室のカケラ箱に入れておきます。
失敗したことは残念ですが、
カケラ箱に入れておけば誰かが再生して、新たな作品に生まれ変わります。
それも楽しみです♪

そんなカケラをI.M.さんは二つに割って一度焼いて平らにし、
2枚の楕円の小皿を作りました。
最初に板だったときは直線だったストライブ模様が、
サギングでぐい吞みに成形したときに湾曲し、
再度平らにしたことで、なだらかなカーブを描くストライプ模様になりました。
サギングのカケラならではの模様です♪
そのカケラに透明のガラスの粉をかけて楕円の小皿にしたのが、上の作品です。

ひよことにわとりのお饅頭を置くと
カケラでできた湖の畔に佇んでいるようにも見えます♪
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