細線模様を描くのは超絶脳トレ!?

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パウダーフュージング技法, 細線  2015/07/25 (土) 15:43 水吉郁子
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パウダーフュージング技法で絵を描く方法はいくつかありますが、
細線シリーズ(左の写真が典型です)のように、
ベースの板ガラスに何色も使い、
そして、その上に描く線も何色も使うという場合は
絵の具で描くときとは手順が違います。

絵の具で絵を描くときは物の形を線で描いて、
その線を基に色を塗ったり、新たな線を書き足して仕上げていきますが、
細線シリーズの場合は順番が逆で、
まず、色を付けた板ガラスを先に作って、
その模様に合わせて線を描いていきます。(上の写真)

予め紙に下絵を描いて、その通りに作品を作ることができれば、
順番を気にしなくてもよいのかもしれませんが、
下絵の通りに描こうと思っても上手くいきません。
作品創りは、棚板に色ガラスの粉を配置して、
下地の板ガラスを作るところから始めますが、

そこで問題が起こります。
ガラスの粉はサラサラしているため、細かく絵を描くことが難しく、
紙に下絵を描いたとしても、その通りのガラス板を作れないんです。
なので、絵の具で絵を描くのとは発想を変えないといけません。

そこで、絵柄の漠然としたイメージだけ決めて、
ざっくりと色を配置した板ガラスを作ります。
そして、その板ガラスの色に合わせて
後付けで絵を考えながら線を描いていくという手順にします。
でも、これが結構難しいんです。

私たちは子供のころから、
まず、物の形をとってから、そこに色を付ける
という順番で絵を描く方法を覚えてきました。
塗り絵がその典型的な例です。
そのため、脳の中にある絵を描くための神経回路も
その方法に合わせて出来上がっているはずです。
だから、逆の順番で、つまり、
不定形に色分けされた意味のない形から、意味のある形を見出して、
それを線で表現しようとしても、
脳の中にそんな神経回路がないので、すぐにはできません。

この壁を超えるのは、慣れしかありません。
逆の順番で絵を描く作業を繰り返し、少しずつその作業に慣れながら、
脳の中に少しずつ神経回路を作っていくわけです。
実際にやってみると、超絶な脳トレをしているようで、(笑)
私も細線シリーズを始めた頃はかなり手間取りました。
でも、やっているうちに少しずつできるようになり、
今では、最初の頃の数倍の速さで描けるようになりました。
人間って慣れると出来るようになるもんだなぁって思います。(笑)

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