ガラスの粉で線を描く「絞り出し技法」
今日は昔話から。
1993年に、ガラス粉でガラス板を作る方法を考案した後、
早速、作品を作り始めました。
最初はガラスの粉で砂絵を描くように
絵や模様を描いていたのですが、
粉を置いて描く方法だけだと限界があって、
作れば作るほど
そこにシャープな細い線を描きたくなりました。
細い線を描く良い方法はないかと試行錯誤していた
1997年暮れのクリスマスです。
テレビのケーキ作りの料理番組を何気なく眺めていると
パティシエが細い絞り出し袋にチョコレートソースを入れて
メリークリスマスと描いている映像が流れてきました。
その時、閃きました!
「あ! これだぁぁぁ!!!」
ガラスの粉に糊を混ぜてペーストを作り、
生クリームのように絞り出して描いたらどうだろう?
試してみると、面白いように細い線が描けます!
そして、電気炉で焼き付けると
描いたとおりに綺麗に焼き付きました♪
絵を描くガラス粉はガラス板を作る粉と同じものですから、
電気炉の熱で溶けてガラス板と一体になるので、
使い続けて色が落ちるようなこともありません。
これを「絞り出し技法」と名付けることにしました。
細い線が描けると、デザインの自由度が増し、
楽しさがグッと広がりました。
それからひたすら作り続けて20数年。
最初は結構太い線でしたが
今では、細い線から太い線まで、
いろいろ描けるようになりました。
余談ですけど、
昔、私が美大で染織を専攻していたとき、
「筒描き」という染め物の技法を習いました。
それは防染用の糊を円錐状の筒の中に入れて
絞り出しながら布に絵を描き、
絵を描いた後、刷毛で染料を塗って布を染め、
洗い流すと線を描いたところが
白抜きになって模様が現れるという技法です。
昔々の、かすかに残る記憶と
ケーキ作りの映像が重なって
「絞り出し技法」が生まれたのかもしません。
人生、何が役に立つか分かりませんね。
下の写真は全部書き終わったところです。
この後、電気炉で焼き付けます。
コメント
初めまして!
どの作品も本当に素敵で、ガラスの表現もいろいろ考えて作られていて、勉強させていただいております。
不躾な質問で本当にすみません。
独学でガラスを勉強しているのですが、こちらの作品のような糊を混ぜての細いラインがなかなかできずにおります。
様々な糊で様々な濃度で挑戦しているのですが、硬すぎて線にならなかったり緩すぎて線にならなかったり…と行き詰っているのですが、ご使用になっている糊、またはアドバイス等いただけますと嬉しいです。
こんにちは!
サイトを見ていただきありがとうございます。
そしていろいろ試していただきありがとうございます!
いろいろ試しているんですよね。
様々な要因があるので
直接見てみないとお答えしかねます。
こんなことにぐらいしかお答えできず
すいません。