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ガラスの粉で線を描く「絞り出し技法」

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パウダーフュージング技法  2019/06/03 (月) 08:17 水吉郁子
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今日は昔話から。
1993年に、ガラス粉でガラス板を作る方法を考案した後、
早速、作品を作り始めました。
最初はガラスの粉で砂絵を描くように
絵や模様を描いていたのですが、
粉を置いて描く方法だけだと限界があって、
作れば作るほど
そこにシャープな細い線を描きたくなりました。

細い線を描く良い方法はないかと試行錯誤していた
1997年暮れのクリスマスです。
テレビのケーキ作りの料理番組を何気なく眺めていると
パティシエが細い絞り出し袋にチョコレートソースを入れて
メリークリスマスと描いている映像が流れてきました。
その時、閃きました!
「あ! これだぁぁぁ!!!」
ガラスの粉に糊を混ぜてペーストを作り、
生クリームのように絞り出して描いたらどうだろう?

試してみると、面白いように細い線が描けます!
そして、電気炉で焼き付けると
描いたとおりに綺麗に焼き付きました♪
絵を描くガラス粉はガラス板を作る粉と同じものですから、
電気炉の熱で溶けてガラス板と一体になるので、
使い続けて色が落ちるようなこともありません。
これを「絞り出し技法」と名付けることにしました。

細い線が描けると、デザインの自由度が増し、
楽しさがグッと広がりました。
それからひたすら作り続けて20数年。
最初は結構太い線でしたが
今では、細い線から太い線まで、
いろいろ描けるようになりました。

余談ですけど、
昔、私が美大で染織を専攻していたとき、
「筒描き」という染め物の技法を習いました。
それは防染用の糊を円錐状の筒の中に入れて
絞り出しながら布に絵を描き、
絵を描いた後、刷毛で染料を塗って布を染め、
洗い流すと線を描いたところが
白抜きになって模様が現れるという技法です。
昔々の、かすかに残る記憶と
ケーキ作りの映像が重なって
「絞り出し技法」が生まれたのかもしません。
人生、何が役に立つか分かりませんね。

下の写真は全部書き終わったところです。
この後、電気炉で焼き付けます。
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