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材料のガラス粉作り
パウダーフュージング技法を始めたのは20年ほど前のことで、
その前はガラス板を焼き合わせるフュージング技法で作品を作っていました。
フュージングは市販されているガラス板を電気炉で焼成しますが、
市販されているガラス板は色に限りがあるし、
厚さも決まったものしかなくて(当時は3ミリ厚のガラス板のみでした)
自由な作品作りというわけには行かず、楽しくありませんでした。
そこで、ガラスを粉状にして自分で焼いてガラス板を作れば、厚さも色も自由にできる!
と思っていろいろ試した結果、ガラス板を作れるようになりました。
自分でガラス板を作れるのが嬉しくて、「私って天才!!」なんて思ったのですが、
それも最初のうちだけ。(笑)
ガラスの粉を作るのが超大変なんです。
今は市販のものがありますけど、当時は自分で作るしかありませんでした。
ガラス粉は握り拳くらいの大きさのガラスの塊(上の写真)から作るのですが、
ガラスは弱くてすぐ割れるものというイメージは当てはまりません。
薄いガラス板と違って塊のガラスはかなり硬く、そのまま砕いて粉にするのは無理です。
そこで、ガラスの塊を電気炉で400度くらいに加熱してから、
熱いうちに水の中に投入して急冷します。
すると、ガラスに細かい亀裂が沢山入って、割れやすくなります。
それが下の写真です。
次は、この亀裂が入ったガラスを乳鉢に入れて、
ひたすらゴツゴツと突いて粉にしていきます。(下の写真)
これが大変な作業で、
直径30センチ程度のお皿を作ろうと思ったら、
ひたすらゴツゴツを3日くらいはやらないといけません。
それでも仕方ないので、最初はひたすらゴツゴツしていたのですが、
今度は腱鞘炎になってしまいました!!
これじゃだめだということで、
町工場を経営してる友人に頼んで、ガラスの粉を作る機械を作ってもらいました。(下の写真)
手でゴツゴツやる代わりに機械でズンドコズンドコ突こうってことで、
名付けて「ズンドコマシーン」、型番は「ZD-1」(笑)。
我が家にはトイレが二つあったので、
一つのトイレの便器を外して小部屋に改装し、
そこにちょうど入るサイズにしてもらいました。
機械を使えば楽ですけど、朝から夕方までズンドコ突いても、
ガラス粉は1日に1キロくらいしかできません。
毎日欠かさずズンドコしてやっと、必要な量の粉ができます。
まだ続きがあります。
ズンドコしただけでは粒の大きさがまちまちですから、
ふるいにかけて丁度良い大きさの粉を選別しないといけません。
そこで登場するのが、栗きんとんを作るときの裏ごし用のザル!(下の写真)
これでシャカシャカ!
暑い夏も寒い冬も毎日シャカシャカ!
修行のような材料作りです。ふぅ~