A.H.さんは、ガラス粉で作ったガラスの
風合いを生かす方法を模索しながら
作品を作っています。
今回はガラスの粉に溝をつけて
模様を描いてみることにしました。

まず、棚板に黄色とグレーのガラス粉を平らに置き、
そこに鉛筆の先で溝をつけて
ストライプ模様を描きます。

この後、焼成の工程に進みます。
ガラス粉を焼成して板にするときは、
普通、比較的高温で焼成しますが、
今回は低温で焼成します。

通常の焼成温度だと
ガラス粉を板にするときに縮む性質があり、
縮むときに薄い部分（溝の部分）が
引っ張られて穴が空き、
形が歪む可能性があります。
そこで、ガラス粉が溶けて縮み始める温度より
低い温度で焼成することで、
穴や歪みを防ぎます。

溝のある板ができたら、
上から透明のガラス粉を被せて、
全体を平らにして再度焼成します。
そして、スランピング技法で成型して完成です。

ところが、
上の作品写真をよく見ると、
左下の黄色の部分に
穴が空いているのが見えます。
この部分の溝が深過ぎて
穴があいてしまいました。

でも、これが失敗ではなく、
面白いアクセントになっています。
いわゆる「味」ですね。（笑）
このアクセントも含めて、
作品全体の風情が素敵です。